「新しいAI産業へのインフラ構築へ」 JASMY 原田氏が語るこれまでの歩みとこれから

投稿者: Akira.Ito 投稿日:

JASMYのトークン発行5周年を記念してジャスミー株式会社のCFOとして活躍されている原田氏からJAMSYの発行からこれまでの活動、新プロジェクトの「JANCTION」についてお話をお伺いしました。

──JASMYのプロジェクト参画以前のご経歴と参画のきっかけを教えてください

まず、私はJASMYプロジェクトに参画以前は、公認会計士として11年間、監査やIPOの仕事をしていました。

公認会計士の勉強を始めたのは、大学二年の終わり頃になります。学生時代は陸上に打ち込んでいました。高校の時に神奈川県で二位になり、陸上で推薦の話も頂戴していましたが、入りたい大学があって一般受験をしました。大学でも陸上を続けていたのですが、将来的なキャリアを考えたときに、所属していた経済学部での最難関資格を取得して戦ってみようと思い、 陸上部を辞める決心をして、公認会計士の勉強を始めました。そして大学を卒業した年の公認会計士試験で合格することができたため、KPMG Japan、有限責任 あずさ監査法人に入所しました。
11年を超える監査法人のキャリアは非常に楽しくチャレンジングなものでした。スーパーゼネコンを含む建設業、放送業、新聞社、ソフトウェア開発、インターネット広告業等、100社を超える企業監査に携わりました。
IPOの仕事にも精力的に携わりました。JASDAQ市場への上場実績やメディアで良く見る有名な経営者とも対等に議論を積み重ねる事で、多くの知見を得た事が今日にも生きていると思います。その他、クライアント企業のM&A戦略に合わせて、財務デューデリジェンス業務を継続的に受注する仕事や、外部企業への内部統制アドバイザリー業務、社内研修講師、働き方改革プロジェクトの推進など、様々な経験をさせて頂きました。

マネジャーとして業務に従事させて頂いていた2018年の夏に、縁あって、JASMYの暗号資産の上場のサポートを頼まれた事がJASMYプロジェクトに参画するきっかけでした。

理由はいくつかありますが、一つは大手監査法人としての方向性に疑問を感じたことですね。先述したとおり、マネジャーとして働くことは本当にやりがいがありましたし、あずさでは高い評価を貰っていて、海外赴任も検討していた時期でした。当時IPO業界は、スマートフォンアプリやゲームコンテンツで事業拡大を図る企業が多く、あずさのIPO部門にもそのようなクライアントが多くありました。特にIPO前後の成長企業はとても勢いがあったため、新規事業として成長産業である暗号資産の活用や、ICO(Initial Coin Offering:暗号資産による資金調達)の検討をした企業がいくつかありました。

現在もそうですが、暗号資産はまだルールが定まっていない部分が多く、あずさはとにかく事例を集めることに注力していました。しかし、2年以上経っても大手監査法人として意見表明できるように検討するわけではなく、単に企業に対してストップをかけ続けるだけだったんですね。その事業は監査意見が出せないかもしれないので止めておいた方が良い、少額であれば許容できる、と。

企業の成長を支えるために仕事をしてきた私にとっては、そこに逆行している法人の姿勢には疑問を感じていました。暗号資産の可能性を感じてはいるものの動くことができない時に、JASMYプロジェクトのオファーを頂きました。30代のうちに自分自身を成長分野に投資して、暗号資産の上場という重要ミッションを自分の手で成し遂げよう、基準がないと動けない監査法人の代わりに自分自身で上場の事例を作りにいこう、そういった想いでJASMYへの参加を決めました。

──プロジェクト内での立ち位置やこれまでの活動について教えてください

まず簡単にJASMYの紹介をさせてください。

JASMYは2016年に創業しましたが、当時はIoTに簡単に接続できる半導体チップを展開する企業でした。当時から分散型ビジネスを心がけていたため、2017年末からブロックチェーンと出会い、ニュージーランドのCentrality社のサポートを受けて、独自のコンソーシアムチェーンの開発を開始しました。

私は、ホワイトペーパーの執筆と国内暗号資産取引所への上場調査と交渉が最初の仕事でした。当時は投資はおろか、Etheriumを知らなかったぐらい業界に関する知識がなかったのと、日本プロジェクトでトークン上場した事例がなかったので、「日本初」を掲げて、海外事例を読み込み、弁護士との打合せを重ねました。

上場までには紆余曲折あり、2021年1月に初めての海外取引所での上場となります。その後、毎月新しい取引所に上場するよう、各国取引所と打合せを重ねました。2021年3月には米国上場のために私個人がTwitter(X)を開始し、英語での発信を開始しました。実はあまり表に出るのが好きなタイプではなかったんですが、それ以上に待つのが嫌いでして(笑)、海外コミュニティに対して、「最初にIRが出るのはこのアカウントだ」と印象付ける事をベースに、様々な試みを実践していきました。
古参のJASMYコミュニティの中では有名ですが、「50週間連続IR」という取組みを実施しました。常に新しい企業やプロジェクトとの提携、上場を続けていくことで、コミュニティが成熟し、毎週、新しい情報を待ってくれるようになりました。また、「Japanese Bitcoin」という通称や、「Jasmy Army」という名称も、コミュニティ発のものです。非常に参加的かつ協力的で、時に強すぎるぐらいの特徴的なコミュニティが構築できたと思います。

その結果もあって、2021年10月には日本企業として初めて米国Coinbaseに上場、同時に日本でも上場し、翌月にはBinanceに上場を果たします。

その後、JASMYは経営体制の強化を図り、世界各国の強力なマーケットメイカーとの連携、取引所内での強力なプロモーションを実施し、2024年2月には、時価総額20億ドル(3,000億円)を達成しました。ひとえに、サポート頂いている取引所の関係者の方々、開発や事業連携しているパートナー企業の方々、そして市場で投資を通じて応援頂いているコミュニティの方々のおかげです。いつも気が引き締まる思いで、日々業務を遂行しております。

JASMYとは

──JASMYが目指す社会や国内暗号資産市場での立ち位置を教えてください

JASMYは、「データの民主化」というビジョンを掲げています。データはとても価値がありその取扱いには法令上の規則があるのはもちろん、常に自身の情報を相手に提供する際には慎重であり、相手先に応じて用途を選択するべきである、という日常生活では当たり前のことを、インターネットに接続された環境下でも実行していくためのプラットフォームを展開しています。
主な製品は、PCをブロックチェーンによって管理・統括するインストール型ソフトウェアサービス「Jasmy Secure PC」と、分散型のデータベース「Jasmy Personal Data Locker」の2つです。

コンソーシアム型の信頼されたノードによって構築された独自ブロックチェーンにより、KYC(Know your customer)のみならずKYM(Know your machine)を証明することを可能とし、デバイスの情報を個人データと紐づけて個人のデータとして識別、記録することができます。このサービスは、コールセンターでオペレーターが利用者の個人情報を取得せずに本人認証を可能とするサービスとして商用利用されています。
加えて、他社に開示する際には、個人情報が含まれないような形に抽象化して提供することで、個人情報保護法やGDPR等の法令に準拠して個人情報が含まれないDBの構築や情報セキュリティコストの削減に利用いただいています。

これら製品を通じて、JASMYが実現したい未来は、「データマーケットプレイスの実現」です。個人が持つデータはとても価値があり、その価値はビッグテック企業に独占されています。皆さんも、無償で利用できるから良い、という感覚は少し昔のものになっているのを感じているのではないでしょうか。なりすまし、複垢や捨てアカにより公平なサービスの提供に苦戦している企業も後を絶ちません。

よく私が例に出すのは、本棚ではなく、図書館です。
個人がデータを持ち、企業が許可を得て利用する。不要になったらデータを返す。
もし商用目的で利用するのであれば、企業は個人のデータを有償で買って利用する。

このような個人のデータに価値が付けば、ボリュームを重視するビッグデータではなく、過去との比較、自分だけの特別な記録やコレクション等、個人のデータがプラチナのように他と違うからこそ価値を持つ時代が来ると信じています。

私たちのJASMYは、このデータの価値の指標として存在します。自分のデータベースに帰属するデータは、年間いくら稼げるのでしょうか?データを相手に提供した場合に、JASMYを獲得できる、自分のデータの証明の担保としてJASMYをセキュリティデポジットとして利用できる、JASMYを持っている事がデータの証明となって新しいチャレンジが出来る。この経済圏の中心的な通貨として、JASMYを機能させていく事が私の大きなミッションだと思っています。

2024年までの活動を振り返って

──これまでの成果やプロジェクトの開発内容について振り返りるといかがですか?

これまでの成果という観点であえて点数を付けるとすると、暗号資産は80点、プロダクトだと40点ほどでしょうか。

先述のとおり、JASMYはデータの民主化を提唱し、個人に帰属するデータに価値を付加する事、そしてデータマーケットプレイスの構築を目指しています。そのためにはホワイトペーパーでも記しているのですが、いくつかのステップがあると考えています。

1)データを識別し、個人に帰属させ、安全に他人に共有する

2)IoTとの連携によりデータの種類・量を拡大する

3)データと価値の交換を実現する

4)データ価値が自由に体現できるデータマーケットプレイスを展開する

この観点から、現在はJASMYのプロダクトが普及し、連携できるデータの種類が増加している段階にありますので、まだ目標に対して鋭意努力を続けていかなければならないでしょう。

一方で、暗号資産について、私たちは当初から、流動性が高く、信頼して投資してもらえる通貨を目指していました。具体的には特に、機関投資家の参入に力を注いできました。

暗号資産を発行する際に、円札やドル紙幣のような高度な印刷技術は必要ありません。誰もが5分あれば新しい通貨を発行する事が出来ます。極論ですが、トークンの機能自体には、技術的な価値が生まれるものではないと思っています。
だからこそ、暗号資産を支えるプロジェクトに信頼してもらい、積極的かつオープンな議論を積み重ね、プロジェクトチームが誠心誠意業務に注力している姿勢をみせる事が大切だと思っています。
まだ私たちの製品は世界的な知名度を得られていませんが、暗号資産を通じて多くの信頼できるコミュニティを構築できたことは、株式の世界とは違う新しいP2Pコミュニケーションの魅力だと思います。

JANCTIONについて

──新プロジェクト「JANCTION」の概要とJASMYとの関連性について教えてください

JANCTIONは、JASMYのエコシステムを拡大させる目的で、私が設立したインキュベーションプロジェクトです。Sonyが2007年頃に挑戦した、PlaystationのGPUを分散稼働させ、ゲノム解析等のコンピューティングを実行したのですが、事実上、失敗に終わります。私たちは、JASMYの経営資源を活用し、遊休状態となっているGPUを再稼働させることによって新たなAI市場へのインフラ構築を担うべく、JANCTIONを始動しました。

他との違いは、「Proof of Resource」と「Proof of Task」という新しいコンセンサスメカニズムです。データセンターのみならず、消費者個人が保有しているGPUをクラウド接続する事で、コンピューティングをはじめとする新しい利活用を促し、それを根拠とした新しいブロックチェーントランザクションの承認を実現します。

JANCTIONをGPU処理機能のマーケットプレイスとして活用することで、ユーザーは休眠状態のPlaystationをはじめとするゲーミングデバイス等をネットワークに接続して報酬を得ることが可能になります。

「Playstation as a Mining machine」という新しいナラティブの元、AIやDeeplearningのエンジニア、取引所や大手コンサルティングファームのチームと一緒に、新しいAI産業へのインフラ構築に日々努めています。

JANCTION HP:https://jasmy.global/

次の5年間のビジョン

──暗号資産やWeb3の5年後のビジョンについて原田さんの目指しているものは何ですか?

一緒に働くメンバーがそれぞれのバックボーンを持って様々なアイディアが出る環境にいるという事もあり、常にやりたいことが湧き出ています。
特定のアイディアに拘らずに、いろいろなアイディアを形にして広げていった先で1つのエコシステムに集約させていきたいと思っています。

JANCTIONについても将来的にはGPUの処理能力を他のプロジェクトと共有するなどの連携をしたいと考えており、収益の上がる体制を築く。そしてトークンを保有しているユーザーに収益を還元していくという構想があります。

また、JASMYのエコシステムの中にカーボンクレジットのマーケットプレイスを作りたいとも考えています。今は環境投資の分野で先進的なヨーロッパの事例を猛勉強中で、今後3年を目処に事業化するために動いているところです。

5年後のビジョンについては、アイディアの数だけ無限にあるのではっきりとした事は言えませんが、トライ&エラーを重ねて面白いものや良いサービスを作りたいと思っています。

──最後にJASMYホルダーに一言メッセージをお願いします。

ホルダーの皆様が中心となって盛り上げていただいたJASMYというプロジェクトはトークン発行から5周年目を迎えることができました。
今回新しく公開することができたJANCTIONではJASMYホルダーやユーザーの皆様に収益機会を提供するための仕組みを作っていく予定です。

JASMYは単なる暗号資産ではなく、テクノロジーと可能性を信じる方々のコミュニティです。JANCTIONは、皆様とともに新たな価値を創造し、共に成長する重要な一歩となります。これからも皆様と共に、イノベーションの最前線を切り拓いていきたいと思います。

──本日は貴重なお話ありがとうございました。

JASMYの詳しい情報はこちら

JASMY公式サイト https://jasmy.global/

JANCTION公式サイト https://www.janction.io/home

原田浩志氏のXアカウント https://x.com/HARA_JasmyCFO

JASMYとは

JASMYのチャート・リアルタイムレート

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