ビットコイン(BTC)・暗号資産(仮想通貨)で自動売買はできるの?取引戦略とメリットデメリットを解説
FX(為替取引)では自分でトレードを行う裁量取引以外に、システムが自動的に取引を行う「自動売買」が頻繁に用いられています。
近年では暗号資産(仮想通貨)の取引においても自動売買のシステムが流通しており、各取引所のAPIを利用することで個人が作成することも可能となっています。
この記事では暗号資産(仮想通貨)の自動売買の種類と戦略、自動売買を利用する上でのメリット・デメリットについて紹介していきます。
自動売買とは?
自動売買とはその名の通り、取引を自動で行うシステムを指します。そのため、「システムトレード」や「シストレ」、「エキスパートアドバイザー(EA)」と呼ばれています。
為替では平日の24時間、暗号資産の場合は365日24時間動、価格が変動し続けるため人間が行う裁量取引で常にトレードチャンスを逃さずに行うことは不可能といえるでしょう。
自動売買ではシステムが起動して市場にアクセスできる限り、事前に設定された取引ロジックに基づいて取引を繰り返すことが可能なので、人間が寝ている時間でもチャンスを逃さずに取引を行うことができます。
暗号資産(仮想通貨)に限らず投資の世界では、「感情に流されて失敗した」というのはよく聞く話です。自動売買ではルール通りの取引を行うので感情に流された取引を制限できます。損失が出ると冷静に取引ができない方は自動売買を使った取引を使ってみるのもいいかもしれませんね。
自動売買は危なくないの?
「自動売買」というと怪しい商材をイメージされる方も多いかもしれません。
過去には粗悪なシステムの販売や、高額な価格で流通するなど問題がありました。暗号資産(仮想通貨)の流行やAIの発達といった注目を集める節目に悪質な業者が販売を行うため、金融庁や消費者庁からも注意喚起が出されています。
もちろん利益を出すことが可能なものも存在しますが、自動売買のシステムを購入する際は、販売者が信頼できるか・実際の取引はどう行われるのかをよく確認しましょう。
利用者の適切な管理も必要
優れた自動売買システムであったとしても投資を行う以上は資金を失うというリスクを負う必要がありますが、適切な管理と戦略でリスクを抑えることが可能です。事前に設定されたルールに基づいて取引を行う自動売買は、予期せぬマーケットの動きに対して臨機応変に対応することが難しいという難点はあります。しかし、適切な資金管理とモニタリングを行うことで急激な市場の変化に対しても早い段階で対応することが可能になります。
自動売買にはリスクが伴いますが、利用者の適切な設定と戦略により、そのリスクを最小限に抑えることが可能です。システムトレードやプログラムによる取引はルールに則った取引を行うツールなので、ユーザーが自動売買の仕組みやプロセスをしっかり理解し、状況に応じて見直すことが重要です。
取引ロジックとは?
自動売買はあくまでも入力されたパラメーターの通りに動くシステムに過ぎません。実際に取引を行う基準になる数値やパラメーターの設定が取引結果に直結するため慎重に設計・選択しなければなりません。
取引のロジックはインジケーターや指数に比例してシンプルに取引をおこなうものと、そこに取引戦略を組み合わせたものが多く流通しています。
ここではFXや暗号資産(仮想通貨)で用いられる代表的な取引戦略を3つ紹介していきます。
グリッド
グリッドとは名前のとおり、一定の間隔で複数の売買注文を行う戦略です。国内の証券会社が提供する自動売買システムにも採用されており、最も身近な取引戦略といえるかもしれません。
非常にシンプルな取引戦略のため、グリッド間隔の数値の変更や様々なアレンジが加えられた自動売買ツールが流通しています。
設定した幅の中で買い注文と売り注文を繰り返すため、レンジ相場で真価を発揮するロジックですが、反対に一方向にトレンドが発生すると含み損を抱えてしまうので運用方法には工夫が必要となります。
ナンピン
ナンピン(難平)とは、保有するポジションが含み損となったときに同じ方向のポジションを増やす戦略です。
例えば1000円で買った銘柄が500円に下がったとき、同じ数量買い増しを行うことで平均したときの取得単価が(1000+500)÷2で750円となります。本来であれば1000円まで価格が戻らないと損失を出してしまいますが、750円より高い価格は全体を通すと利益となるため、裁量取引でも伝統的に行われる手法の1つです。
しかし、このロジックにもデメリットはあり、例の場合で750円よりも低い価格となったとき、ナンピンを行った数だけ倍数的に損失が膨らんでしまいます。
ロジックが破綻しない限りは残高のグラフが一直線に伸びていくため自動売買では頻繁に用いられる手法ですが、資金管理の難しさからグリッドと比べると上級者向けの手法といえるかもしれません。
マーチンゲール
マーチンゲールはマーチンとも呼ばれるロジックです。
もとはカジノのルーレットで用いられた手法で、ゲームで掛け金を失ったときに勝つまで掛け金を2倍に増やし続ける戦略です。勝つまで倍の金額を賭け続けることで理論上は、最後の1勝で損失をすべて取り返すことが可能となっています。
トレードではナンピンと同時に組み合わて運用されることが多く、ナンピン戦略の効果を倍増させることが可能です。
効果が倍増するのはメリットだけではなく、デメリット側にも働いてしまうので更に上級者向けの戦略といえるでしょう。
紹介した3つの取引ロジック以外にも自動売買ではインジケーターの数値をもとに取引を行うものなど様々なものが開発されています。
自分の運用方針と取引ロジックが一致しているかなどしっかり確認してから自動売買を利用しましょう。
暗号資産(仮想通貨)自動売買のメリット・デメリット
暗号資産(仮想通貨)の自動売買には多くのメリットがありますが、その一方でいくつかのデメリットも存在します。以下に、それぞれのポイントを具体的に探ってみましょう。
メリット
24時間365日トレードチャンスを逃さない
株式市場や為替市場と異なり、暗号資産(仮想通貨)は24時間365日取引を行うことができます。そのため、仕事や学校、睡眠時間などの裁量で取引を行うのが難しいタイミングでトレードのチャンスが発生したとしても、事前に設定した自動売買のシステムが適切に取引を行ってくれます。
特に暗号資産(仮想通貨)は欧米の出来事やニュースで価格が変動しやすいため、深夜の裁量取引が難しい方には適しているといえるでしょう。
感情抜きで取引できる
自動売買はルールに則って機械的に取引を行うため、取引ロジックを崩さずにトレードを行うことができます。
感情に任せて取引を行ってしまうと、特に思わぬ損失が発生した時に損失を取り戻そうとして無理な取引を行い損失が広がる可能性もあります。
このような経験がある方は自動売買を使った取引が向いているかもしれません。
デメリット
臨機応変な対応ができない
自動売買は基本的に1つの取引ロジックに基づいてシステムが作られています。そのため、急激な価格の変動やシステムで想定されていない状況では臨機応変な対応が難しくなります。
複数の取引ロジックを搭載した自動売買も存在しますが、複雑なシステムのため開発や利用には高いスキルが求められます。
購入・開発・運用のコスト
自動売買は主に既に完成したシステムを購入するか、自身で開発して利用します。
自動売買システムを購入する際にはもちろん金銭的なコストが必要となり、初めて自動売買のシステムを開発する際には時間的なコストやスキル獲得に金銭的なコストが必要になります。
また、実際に自動売買を運用する際にはサーバーやVPSといった実行環境の構築にもコストが掛かります。
自動売買の利用を検討している場合、利益だけではなくコストについても考える必要があります。
資金管理・税金計算が煩雑
自動売買の取引ロジックによっては1日に数十~数百回の取引を行うものもあります。そのため、適切な資金管理が必要なのはもちろん、取引ごとに購入価格と売却価格をまとめて税金の計算を行わなければいけません。
税金の計算や申請を怠ると追徴課税や、悪質な場合は逮捕されたケースもあるので、自動売買によって発生した利益はしっかり計算して把握しておきましょう。
自動売買は作れる?
自動売買のシステムは作成可能です。
販売されている自動売買システムが自分に適していない場合は自作してみるのもいいかもしれません。
自動売買のシステム自体の制作は構築環境によって難易度は変わってきますが、プログラミング言語を習得することにより自動売買で可能な取引の幅が広がります。暗号資産の取引所ではAPIと呼ばれる外部のプログラムとサービスを繋ぐコードが提供されています。APIで自動売買のプログラムと取引所の口座を連携することにより取引が実施されます。
トレードのロジックを考えるうちにシステムの設計が新たな楽しみになるかもしれません。
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