現在、数千種類の暗号資産(仮想通貨)が世界中で取引されています。

デジタル化された通貨の需要が高まるなかでビットコインが法定通貨として機能する国も存在します。

世界中で「デジタル通貨」への関心が高まっていて国や中央銀行が管理するデジタル通貨CBDCの開発を各国で推進しています。

この記事ではCBDCについて世界の動向と日本が進める取り組みについて解説していきます。

デジタル通貨の定義

デジタル通貨という言葉には明確な定義はありませんが「価値をデジタルデータで表現したもの」、「デジタルデータに変換された、通貨として利用可能なもの」を一般的にデジタル通貨と呼んでいました。難しく感じてしまいますが、私たちが普段の生活で使う電子マネーやプリペイドカードもデジタル通貨の1種であり身近なものとなっています。

既存の電子マネー、プリペイドカード、銀行預金の電子データは「既存形態のデジタル通貨」と呼ぶことができ、暗号資産(仮想通貨)やCBDCに関しては「新しい形態のデジタル通貨」と呼ぶことができます。

ステーブルコイン

ステーブルコインとは、安定した(Stable)コインという意味で価格の変動が少ない通貨として資産価値の保存として用いられています。
アメリカドルにベックされたテザー(USTD)は2023年の上半期時点で時価総額が暗号資産全体の3位となっており、発行体のテザー社では他にもユーロやメキシコペソ、オフショアの人民元などに対応するステーブルコインも発行しており、様々なネット決済の場で採用される仕組みとなっています。
ブロックチェーンを利用した暗号資産(仮想通貨)のため、既存金融システムや既存のデジタル通貨よりも短時間・低コストでの取引が可能な通貨となります。

各国の法定通貨に限りなく近い価値を持つステーブルコインですが、発行体ごとに価格安定化の方法は異なっており、過去にはTera(LUNA)が起こしたディッペグ問題などもあるため、裏付け資産の管理方法などをよく理解して利用する必要があります。

CBDCの開発

CBDCは各国の法定通貨のデジタル化であるため、ステーブルコインのような価格の安定性が求められています。開発状況は各国様々で、バハマ・カンボジア・中国・スウェーデンでは既にテスト運用が開始されています。特にカンボジアやバハマといった国は携帯電話(スマートフォン含む)の普及率が高い反面、国民の銀行口座開設率が低い傾向にあります。

世界人口の30%以上は銀行口座を持っていないアンバンクト層と呼ばれる人々ですが、携帯電話(スマートフォン)の普及率は世界的に見ても銀行口座開設率よりも高い傾向にあるので、アンバンクト層の人々がデジタル通貨の普及によって金融サービスへアクセスできる効果が期待されています。

CBDCのメリット

CBDCを導入することで実際に

・流通コストの削減
・ネット社会への適応
・不正取引の撲滅

といったメリットがあると考えられています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

・流通コストの削減

先進国の中で日本は特にキャッシュレス決済比率が低いという事は有名ですが、実際に現金の決済・流通のためには年間約2.8兆円のコストが必要となっています。この費用は最終的に私たちが購入する商品・サービスの価格に上乗せされているという側面があります。
CBDCの普及により、現金の保管や輸送といったコストを削減することが期待されています。

参考 経済産業省 キャッシュレス将来像の検討より

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/cashless_future/pdf/001_06_00.pdf 

・ネット社会への適応

世界中でインターネットの普及と共にデジタル決済が普及しつつありますが、デジタル決済を行うにはクレジットカードやQR決済の民間業者を利用しなくてはいけません。
前項で述べた「アンバンクト層」の人々はこうした民間のデジタル決済を利用できない場合が多く、中央銀行主体によるデジタル決済の推進はアンバンクト層の人々に対しても機会を平等に作り出すことができます。

・不正取引の撲滅

現金決済の問題点として、いつ・誰が・どこで利用したのかという事が把握できないという点があります。特にマネーロンダリング(資金洗浄)では履歴の残らない現金決済が多く用いられることから、世界中で取引の監視強化にあたっています。
CBDC普及によって現金決済のような匿名性が無くなることでこうした不正取引に対する大きな対策となります。

主要国と日本のCBDCに対する動向

2022年にアメリカのバイデン大統領が「CBDCの研究・開発は政権の最優先課題」と位置づけているほか、ユーロでは「デジタルユーロ」というCBDCの具体的な発行時期の検討と法整備の段階まで進んでいます。

欧州中央銀行の総裁はCBDCについて「何も行動を起こさない場合のコストは潜在的に非常に大きくなる可能性がある」とも警告しており、世界中の中央銀行で早急にCBDCの枠組みの作成が求められています。

日本のCBDCに対する取り組みとしては、具体的な発行の計画はありませんが、デジタル社会の発展に伴ってふさわしい決済システムのありかたについての検討が進んでいます。
民間の銀行・IT企業・暗号資産交換業者や、Aster Networkの渡辺創太氏がCEOを務めるStartale Labs Pte. Ltd.が参画する「CBDCフォーラム」の設置も進むなど暗号資産と日本銀行の連携が期待されます。

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