暗号資産・仮想通貨 イーサリアム(ETH)の特徴と仕組みを紹介
イーサリアム(Ethereum/ETH)はプラットフォームの名称ですが、日本においては暗号資産(仮想通貨)そのものを指すことが多いです。ビットコイン(Bitcoin/BTC)以外のアルトコインのなかでは代表的なものであり、取引量が多い暗号資産(仮想通貨)といえるでしょう。
この記事では、イーサリアム(ETH)の基本的な仕組みやビットコイン(BTC)との違いについて解説します。
イーサリアム(Ethereum/ETH)の基本的な仕組み
イーサリアム(ETH)には、暗号資産(仮想通貨)としての性質とプラットフォームとしての性質の2つの性質が備わっています。
まずは、イーサリアム(ETH)の基本的な仕組みをおさえておきましょう。
イーサリアム(Ethereum/ETH)はプラットフォームの総称
イーサリアム(ETH)はプラットフォームの名称であり、ここで使用される暗号資産(仮想通貨)をイーサ(Ether)と呼びます。日本においては、プラットフォームとイーサのことをどちらも「イーサリアム」と呼ぶことが多いです。
暗号資産(仮想通貨)であるイーサリアム(ETH)は、ビットコイン(BTC)以外の暗号資産であるアルトコインのなかでは代表的であり、時価総額はビットコイン(BTC)に次いで高いのが特徴です。プラットフォームとしてのイーサリアム(ETH)は、暗号資産(仮想通貨)以外にもさまざまな用途での利用が模索されているため、多くのユーザーからの注目を集めています。
スマートコントラクトとは?
「スマートコントラクト」とは、自動で実行される契約を作れるコンピュータプロトコルです。イーサリアム(ETH)はブロックチェーン上でスマートコントラクトを作成できる機能が備わっているため、プログラムを書き込むことによって、予め設定した要件に沿って自動的に契約を実行することができます。たとえば、「指定した条件を満たすことで、自分の口座からAさんに1ETHを送金する」といったプログラムを書き込めば、Aさんが条件をクリアすることで1ETHが自動的に支払われます。
第三者の承認なしに効率的な取引が行えるのが特徴であり、あらかじめ取引内容を決めて自動的に取引が実行されるので、業務効率を高められるメリットがあります。
イーサリアム(ETH)におけるスマートコントラクトでは、単に暗号資産(仮想通貨)のやりとりを行うだけでなく、商品の売買や不動産取引などにも応用できる汎用性を備えているのが特徴です。
そのため、さまざまな分野での業務効率化や新たなビジネスの構築への利用が期待されており、注目度が高くなっています。上場企業や国際的な企業がスマートコントラクトを活用したビジネスモデルを構築するなど、さらなる利用の拡充が見込まれています。
DAppsのプラットフォーム
「DApps」とは分散型アプリケーションのことであり、スマートコントラクトを応用して構築されたアプリケーションです。イーサリアム(ETH)には上述のとおりスマートコントラクトが備わっているため、DAppsを構築するための開発環境を提供するプラットフォームとしての機能を持ちます。DAppsは管理主体がいなくても稼働するアプリであり、参加者がデータを分散管理することで開発の意思決定を行えるのが特徴です。
従来は特定の技術を修得したプログラマーでなければ参加が難しい領域でしたが、イーサリアム(ETH)が登場したことにより、多くの人がDAppsの開発に携われるようになりました。
さまざまなアイデアをDApps開発に活かせる流れができ、多くのプロジェクトがイーサリアム(ETH)から生まれています。
イーサリアム(Ethereum/ETH)が持つ3つの特徴
イーサリアム(ETH)をより深く理解するには、どのような機能や特徴が備わっているかをおさえておくことが大事です。
ここでは、イーサリアム(ETH)が持つ3つの特徴を見ていきましょう。
スマートコントラクト機能
イーサリアム(ETH)の代表的な特徴として、先述のスマートコントラクトがあげられます。イーサリアム(ETH)のスマートコントラクトは、ブロックチェーン技術を用いているため、「改ざんができない」という特性があり、契約内容通りに第三者を介さずに契約が実行され、ブロックチェーン上に実行履歴が記録されます。契約内容通りに必ず実行されるといった、契約の透明性はブロックチェーン技術により担保されますが、仮にプログラムにバグがあった場合も、契約後に変更することは難しいため、事前に設定された契約どおりに実行される点は注意が必要です。
他の暗号資産(仮想通貨)にもスマートコントラクト機能が備わった暗号資産(仮想通貨)はありますが、2024年3月現在、イーサリアムブロックチェーン上に構築されたDAppsの数は3000を超えており、他の暗号資産(仮想通貨)を凌駕しています。DAppsを構築するためのブロックチェーンとして、イーサリアムブロックチェーンは多くのユーザーに支持されているのです。
スマートコントラクトについて詳しくはこちらの記事で紹介しています。
代替できないトークン(NFT/Non-Fungible Token)
イーサリアム(ETH)は、NFT(Non-Fungible Token)の分野においても注目されています。NFTは「代替不可能なトークン」と訳されますが、簡単に言うと「偽造できない証明書付きのデジタルデータ」のことです。ちなみにトークンとは、独自のブロックチェーンを持たない暗号資産(仮想通貨)を指します。
NFTは現在、特にデジタルアートの分野での活用が目立っています。デジタルアート作品において、従来のデジタルデータは複製しやすいことから、価値を保つことが難しい上、所有者の所在が不明瞭になりがちでした。しかし、ブロックチェーン上のデジタルデータは複製や改ざんが難しいため、デジタルデータとして価値を持たせることができるようになりました。NFTとしてデジタルアート作品を販売することで、デジタルアートに唯一無二の価値を持たせることが可能となり、さらに取引記録がブロックチェーン上に残るので、作品の所有権が明確となり、第三者による複製を防ぐことができます。
NFTの発行において広く採用されているのがイーサリアム(ETH)の「ERC-721規格」です。ERCとはEthereum Request for Commentsの略で、スマートコントラクトの規格を指します。また、イーサリアム(ETH)をベースにしたブロックチェーン上で使われるトークンをERCトークンと呼びます。ERCは規格ごとに番号が割り振られており、ERC-721規格で発行されたトークンはそれぞれが独立した価値を備えています。
他の暗号資産(仮想通貨)では、同じトークン同士では同等の価値を持つとみなされ、価値の交換(代替)が可能です。一方、ERC-721規格で発行された代替不可能であるトークンはトークンごとに独自の価値を持つため代替不可能であり、希少価値が重視されるNFT分野で活用できます。ERC-721規格のトークンを発行できるイーサリアム(ETH)は、NFT分野でも活用できるプラットフォームであるといえるでしょう。
NFTについての詳細はこちらの記事で紹介しています。
ERC-20を利用すれば、独自のトークンが作れる
「ERC-20」とは、イーサリアム(ETH)独自のトークン規格です。ERC-20を用いて、イーサリアムブロックチェーンと互換性のあるトークンを作ることができ、すでにテザー(USDT)やチェーンリンク(LINK)などのさまざまなトークンが存在します。また、ERC-20はクラウドファンディングなどでも活用されています。
ERC-20に準拠したトークンは、一元管理できることが大きなメリットです。他の規格でもトークンは発行できますが、その場合はトークンごとに異なるウォレットを作成する必要があります。一方、ERC-20規格で作られたトークンは数多く存在しますが、ERC-20規格トークンという枠組みで1つのウォレット(トークンや暗号資産(仮想通貨)を保管するWeb上の財布)で管理できます。この便利な特徴により、イーサリアムプラットフォーム上で使用されるERC-20規格のトークンが無数に発行されています。
イーサリアム(ETH)の進化
イーサリアム(ETH)について理解を深めるために、誕生した経緯やこれまでに起こった事件、アップデートの流れなど、これまでの動きもおさえておきましょう。
イーサリアム(Ethereum/ETH)の誕生・ICO
イーサリアム(ETH)は、2013年にヴィタリック・ブリテン(Vitalik Buterin)氏によって考案されたプラットフォームで、ブロックチェーンを利用した分散型アプリケーション「DApps」の開発を簡単にするプラットフォーム構築を目的としていました。
イーサリアム(ETH)の開発は、PayPal創業者で投資家のピーター・ティール氏が行う若手起業家育成プログラムにブリテン氏が選出され、その資金をもとに行われました。
暗号資産(仮想通貨)としてのイーサリアム(ETH)は、2014年7月〜9月にICOを行い、当初の販売枚数は48,521,410 ETHで総額は31,591 BTC(当時のレートで約1,800万米ドル)に達しました。
2015年以降は数度のアップデートを繰り返し、機能が徐々に拡張しています。それに伴ってユーザーも増加し、現在さまざまなプロジェクトが生み出されています。
PoWからPoSへ
イーサリアム(ETH)は2022年9月まではビットコイン(BTC)と同じくPoW(Proof of Work)が採用されていました。
イーサリアム(ETH)の開発チームによって過去最大のアップデートである「The Marge」が実施されたことでPoS(Proof of Stake)への移行がされました。PoWではマイニング時、演算能力に優れたコンピュータと莫大な電力を必要としましたが、PoSに移行されたことで簡単なシステムと32ETH以上を保有することでバリデータと呼ばれる人々や集団がノード運営を担うことが可能になりました。
イーサリアム(ETH)に影響を与えたイベント
DeFiの市場が成長
イーサリアム(ETH)の大きな特徴の一つであるスマートコントラクトを金融分野で活用したものが、管理者のいない金融仲介アプリケーション「DeFi」です。管理者が存在しない分散型のファイナンスを実現し、世界中で暗号資産(仮想通貨)の流動性を高めたといえます。
2021年には1ETHが50万円を超え、DeFiで取引されるイーサリアム(ETH)の需要が高まりました。
2022年以降はイーサチェーン以外で動くDeFiが勃興していますが、いまだにERC規格のDeFiは根強い人気を博しています。
DeFiについて詳しくはこちらの記事で紹介しています。
大幅アップデート「シャペラ」
2023年には実行レイヤー変更の「Shanghai」とコンセンサスレイヤーの変更を行う「Capella」という大型のアップデートが実行されました。
暗号資産(仮想通貨)のノード運営では現物の通貨をステーキングして報酬を得ることができますが、イーサリアム(ETH)ではステーキングした通貨がロックされ引き出しができない状態が続いていました。2年以上ロックされていたイーサリアム(ETH)がこのアップデートによりバリデータは元本となるイーサリアム(ETH)とその報酬を引き出すことが可能となりました。
報酬を現金化したい投資家と新規でステーキング運用に参加する投資家の取引により市場に大きな影響を与えました。
まとめ:イーサリアム(ETH)は暗号資産(仮想通貨)の中でも注目度が高い
現在、国内でもWeb3分野への関心が高まっておりブロックチェーンを利用したアプリケーションの開発が進められています。イーサリアム(ETH)企業連合としてアメリカのマイクロソフトや日本のトヨタ、KDDI、NTTグループの参画が始まっており、今後私たちの身近なところでの活用が模索されています。海外では上場投資信託にイーサリアムETFが承認されていることから既存金融の分野からも注目されています。
世界中で暗号資産(仮想通貨)に係る法改正が審議されている中で今後、アメリカやヨーロッパなどの主要国でポジティブな動きが見られれば新たな活用の場が広がるかもしれません。
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