IEOとは

暗号資産(仮想通貨)を取引しているとIEO(Initial Exchange Offering)という言葉を耳にすることがあります。

2019年ごろから海外の取引所では人気となっている暗号資産(仮想通貨)による資金調達の手段で、徐々に国内でも使われるようになりました。

この記事では暗号資産(仮想通貨)を用いたIEOの仕組みと特徴について解説します。

IEO

暗号資(仮想通貨)産市場と株式市場の違い

IEO(Initial Exchange Offering)とIPO(Initial Public Offering)は、それぞれ資金調達の手法として使用される手段です。

IEOは暗号資産(仮想通貨)の分野で用いられる手法であり、暗号資産取引所を介してプロジェクトがトークンセールを行います。一般の投資家は取引所でトークンを購入し、取引所上でトークンの取引が可能です。IEOでは、暗号資産取引所がトークン販売のプラットフォームを提供し、プロジェクトは暗号資産取引所と提携して資金調達を実施します。

一方、IPOは従来の金融市場での手法であり、企業が公開市場で株式を初めて一般投資家に公開します。IPOでは、企業は証券取引所と提携し、証券取引所で株式を公開し投資家による買い付けが行われます。

IEOとIPOの主な違いは次の通りです:

手法の異なる資金調達:

IEOは暗号資産(仮想通貨)に特化した手法であり、暗号資産取引所を介してトークンセールを行います。一方、IPOは従来の金融市場での手法であり、証券取引所を通じて株式を公開します。

取引所の関与:

 IEOでは取引所がセールを主導し、トークンの販売プラットフォームを提供します。一方、IPOでは企業が証券取引所と提携し、株式を公開するための手続きを行います。

市場の性質:

 IEOは暗号資産(仮想通貨)市場において行われるため、投資家はトークンの流動性や価格変動のリスクに直面します。IPOは伝統的な株式市場で行われるため、一般的にはより安定した市場環境が期待されます。

規制環境:

 IEOは暗号資産(仮想通貨)の分野で行われるため、規制や法的な要件に関しては国や地域によって異なります。IPOは従来の金融市場で行われるため、証券規制に従う必要があります。

国内でのIEO事例

国内では2021年にCoincheckよりパレットトークン(PLT)が実施されたのが初のIEO事例となっています。
以降、プロサッカークラブやアイドルの応援といったコミュニティトークン・ユーティリティトークンが上場を果たしています。

IEOの募集内容をまとめて確認しましょう。

IEO事例

2021年にIEOで上場を果たしたパレットトークン(PLT)は、ゲームトークンとしてNFTの売買やアイテムの購入に使われるトークンです。上場日前の7月20日に抽選の受付が行われましたが、9億3,150万円の募集が数分で完売し、国内IEOの可能性を切り開きました。

翌年にはプロサッカーチームであるFC琉球のファントークンであるFCRコインのIEOが実施され、10億3,950万円の募集分を完売させています。調達資金はクラブ強化育成費や、運営費、プラットフォームの構築に充てられました。

2023年3月にはフィナンシェトークン(FNCT)のIEOが実施されました。ブロックチェーンを活用したトークン発行型クラウドファンディングとしてローンチされた通貨で、自身が応援するコミュニティへトークンを通した参加が可能となっています。投票によるコミュニティの参加も可能となっており、ユーザー主体の運営の実現を目的として資金調達が実施されました。

翌月には、アイドルの組成・運営に関わる資金の調達としてニッポンアイドルトークン(NIDT)がDMM Bitcoinとcoinbookの2取引所から同時にIEOが実施されました。アイドルのオーディションからライブ、楽曲のリリースまでのロードマップが公開されており、アイドルの成長を見守りながら応援できるプロジェクトとしてSNS上で話題となりました。

IEOの課題点

国内でも始まりつつあるIEOですが、現段階では以下のような課題点が存在します。

・規制の不確実性:

 IEOは新興の資金調達手法であり、規制環境がまだ整備されていない場合があります。国や地域によって異なる法的要件や規制が存在し、プロジェクトや投資家にとって不確実性をもたらす可能性があります。

・投資リスクの増加:

 IEOではトークンを取引所上で購入するため、投資家は取引所の信頼性やセキュリティに依存します。取引所がハッキング被害に遭ったり、詐欺的なプロジェクトが参加したりするリスクがあります。投資家は取引所の選択とデューディリジェンスを重要視する必要があります。

・プロジェクトの信頼性の問題:

 IEOでは、取引所がプロジェクトの選定を行い、そのプロジェクトが発行するトークンの取引を投資家に提供します。しかし、取引所が不適切なプロジェクトを選定したり、情報の不正確さや不十分さがある可能性があります。投資家はプロジェクトの評価や信頼性を慎重に考慮する必要があります。

・流動性と価格の不安定性:

 IEOで購入したトークンは取引所上で自由に取引できますが、流動性の不足や取引所の取引量の制約により、価格の変動が激しくなる場合があります。これにより、投資家はトークンの売買時に価格不安定性に直面する可能性があります。

・取引所の選択の制限:

IEOに参加するためには、特定の取引所に依存する必要があります。投資家は参加したいプロジェクトが実施されている取引所を選び、その取引所の要件や制約に従う必要があります。一部の投資家にとって、選択肢の制限やアクセスの難しさが課題となる場合があります。

これらの課題点に対処するためには、規制の整備や取引所の信頼性向上、情報の透明性の向上などが必要です。投資家は慎重な判断とリスク管理を行う必要があります。

暗号資産(仮想通貨)チャート

IEOの今後

IEOが今後、メジャーな資金調達・投資機会となるには規制環境が整備され、より明確なルールや法的要件が確立されることが必要です。IEOが新たな資金調達手法として確立することで、プロジェクトがより多くの投資家にリーチする機会が生まれ、資金調達の柔軟性が増すことが期待されます。

IEOに関わる暗号資産取引所はもちろん、投資を考えているユーザーもプロジェクトの情報を見極める力が試されますが、新たな暗号資産(仮想通貨)の活用方法として仕組みの整備が望まれています。

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