マウントゴックス事件は当時、暗号資産(仮想通貨)バブルに乗っていたユーザーにとって忘れられない出来事ではないでしょうか。
暗号資産(仮想通貨)黎明期に現在の取引所サービスの基礎を築くと同時に多くの被害者を生んだ「マウントゴックス」について解説していきます。

マウントゴックスとは?

マウントゴックス(株式会社MTGOX)は2009年にトレーディングカードの交換所として東京で設立されました。設立の翌年2010年には事業転換し、ビットコインの取引所としてサービスを開始しており、2013年には世界のビットコイン取引量の約70%を占める規模に成長しています。
しかし、同年に相次いでハッカーの侵入を許してしまい2014年2月には全取引を停止、2018年に破産手続きを開始しています。

マウントゴックスの破産までの経緯

マウントゴックスは一時は世界最大の取引所となりましたが、なぜ破産まで追い込まれたのでしょう。
破産までの経緯を時系列順で見ていきましょう。

・2011年6月19日

2011年6月19日マウントゴックスの取引所にハッキングが確認されましたが数分で復旧しました。この時、ビットコインの価格がハッカーにより1セントに操作され、数分間の間に875万ドル以上の被害を受けました。

・2013年2月22日

アメリカの国土安全保障省からのマネーロンダリング防止要件導入により、オンライン決済システムの「Dwolla」利用が制限されました。ビットコインを用いたマネーロンダリングの疑いでユーザーの資金も凍結され一般ユーザーの口座が解放されるまでに3カ月の時間がかかりました。

・2014年2月7日

「Dwolla」の処理により取引システムのログが正常に動かなくなってしまい、マウントゴックスの判断でビットコインの取引を停止しました。
このとき口座内に入っていたビットコインはすべて引き出すことが出来ずにユーザーからのクレームが殺到しました。

・2014年2月28日

払い戻し停止中にハッキングの被害やシステムのエラーにより、自社保有の10万BTCとユーザー保有分の75万BTC、さらに28億円のユーザーの円資産を失いました。
資産の消失を受けてマウントゴックスは債務超過に陥り、民事再生法の適応申請を開始しました。

・2014年4月24日

東京地裁は被害ユーザーの数や被害総額から見ても悪質だと判断し、民事再生法適応申請を棄却し、資産保全命令を出しました。
民事再生法適応がかなわなかったため、マウントゴックスは破産手続きを開始しました。

・2015年8月1日

マウントゴックスの社長だったマルク・カルプレス氏が資金の横領や自己の口座残高を不正操作したとして逮捕されました。

・2018年6月22日

マウントゴックス内の口座に残ったビットコインの時価が高騰し、保有資産が2000億円を超えたことで東京地裁が民事再生手続きを承認しました。


以上がマウントゴックス事件の経緯です。
2023年に当時のユーザーへの弁済手続きが告知され、約10年ぶりにユーザーの元へ資産が返還される予定となっています。

暗号資産(仮想通貨)が危ないというイメージを持たれたきっかけとなる事件であり、現在も暗号資産(仮想通貨)は日本国内でのネガティブイメージを払拭できていません。
今後二度とこのような流出事件が起こらないよう、各取引所ではセキュリティの強化に努めています。

マウントゴックス事件の問題点

マウントゴックス事件の問題点は何よりも管理体制の杜撰さであるといえるでしょう。
当時は暗号資産(仮想通貨)が金融商品であるとみられていなかったことでマウントゴックス内の人間もコンプライアンス意識が欠如していたことが問題の引き金になったと考えられます。

現在では暗号資産(仮想通貨)を取り巻く環境が変化し、国内では暗号資産が金融商品として扱われ、各取引所でもユーザー保護のためのルールが遵守されています。未だに海外では暗号資産の規制が不十分な国もあるため、マウントゴックス事件と類似の問題も噴出しています。

暗号資産(仮想通貨)は危険なのか?

マウントゴックス事件によって暗号資産(仮想通貨)に対する危険だというイメージが未だに根強く残っています。2020年以降は暗号資産(仮想通貨)を利用した詐欺も横行しており、年々ユーザーにとって参入のハードルが上がる一方となっています。暗号資産(仮想通貨)がメジャーなコモディティと同様のステージに立つにはこれまで以上の時間を要することが予想されます。

取引所ができることは限られており、暗号資産(仮想通貨)ユーザー1人1人がうまい話に乗らないことや、逆に加害者にならないように心がけることが何よりも大切です。

経緯を見てみるとマネーロンダリングに対する規制の甘さや、取引所そのもののセキュリティの脆弱性といった人為的な問題によって引き起こされた事件であるといえます。
当時と比べ、暗号資産(仮想通貨)の取引所に対するユーザー保護やセキュリティの基準が高く設定されており、同規模の流出事件は発生しにくくなっています。

暗号資産(仮想通貨)を構成するブロックチェーン自体はハッキングや不正を実質不可能にする強固なセキュリティシステムを構築しています。
暗号資産(仮想通貨)自体へのハッキング攻撃は世界でも例がほとんどなく、資金の流出を防ぐのは各ユーザーのウォレット管理と取引所のセキュリティ強化であるといえるでしょう。

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