パラオ共和国では、パラオ国民以外にもデジタル居住を提供する「デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)」と呼ばれる制度が存在します。
ブロックチェーン技術を活用し、世界中の誰もがパラオの電子市民として登録することができることから、Web3や暗号資産(仮想通貨)の分野で高い人気を誇っているサービスです。

この記事では、デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)の基本的な情報とメリット、課題について紹介していきます。

「デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)」とは

デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)は、ブロックチェーン技術を利用して設計された、国際的に注目される画期的な制度です。日本語では「パラオデジタル居住ID」と訳され、名前の通り、パラオにおけるデジタル上の市民としてIDが発行される制度です。

IDはパラオの法的に認められた本人確認書類として利用することが可能で、ホテルのチェックインや飛行機の搭乗、金融機関での口座開設といった場でも活用されています。
個人の情報はブロックチェーンで検証され、安全に管理されているほか、ビジネス用のIDや金融取引用のIDなど複数のサブIDを生成することが可能です。サブIDでは個人情報の公開・非公開を設定できるセルフコントロール機能が備わっており、例えば暗号資産(仮想通貨)取引の場で使うIDには人種や社会人経験といった暗号資産(仮想通貨)取引に不要な情報を非公開にすることができます。

暗号資産(仮想通貨)市場へのアクセスを柔軟に

デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)は、パラオのデジタル居住者として銀行サービスや暗号資産(仮想通貨)取引所のサービスを利用することができます。
そのため、暗号資産(仮想通貨)の取引に関する厳しい制限がある国や地域の人々もパラオからアクセス可能な暗号資産(仮想通貨)取引所を利用することができます。

パラオの暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンに対する取り組み

パラオは、デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)以外にも、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術の活用に積極的で、Web3の分野で国際的な経済競争力を高めています。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)の実証実験を様々なチェーンで進めているほか、ブロックチェーンを使った貯蓄国債システムの実証事業が始まっています。

取り組みの背景

パラオが積極的に暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術を取り入れている背景には、流通通貨の問題があります。
現在、パラオは自国通貨を持たずに、アメリカドル(USD)が通貨として流通しています。そのため、パラオ政府は自国経済の主権を握れておらず、銀行機能もアメリカの銀行に依存しています。

また、パラオは主に建設業、商業、観光業が主要な産業となっており、それぞれの分野で外国人人材への依存度が高くなっています。

デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)や、中央銀行デジタル通貨(CBDC)といった取り組みによって、自国の中央銀行機能の強化と優秀な外国人人材の確保によるパラオ経済の発展が目的とされています。

デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)のメリット

デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)は、パラオ国内での銀行口座の開設や法人設立の場で利用することが可能なため、優秀な外国人労働者の取り込みが見込まれています。

暗号資産(仮想通貨)業界では、イーサリアム(ETH)の開発者であるVitalik Buterin氏がパラオの電子市民となったことを公表しています。暗号資産(仮想通貨)やWeb3の分野では自国の法規制により、開発や利用に制限がされる場合がありますが、デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)により自由な活動を行うことが可能となります。

デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)の課題

現在、デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)はブロックチェーンのネットワークによって個人情報のデータを管理しています。これまでに個人情報の流出や不正利用の情報はありませんが、ネットワークに重大な欠陥などが見つかると、一斉に情報の漏洩が発生する可能性もあります。
本来は国や政府が管理する情報がブロックチェーン上で管理されることから、従来とは異なる管理体制の構築が必要となります。

また、パラオはEUが指定するタックスヘイブンのブラックリストに掲載されており、デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)による税金の扱いが難しくなるという問題点もあります。
本来の国籍を問わずに、パラオのデジタル居住者として銀行や暗号資産(仮想通貨)取引所のサービスを利用可能なことから、マネーロンダリングに対する厳格な体制の整備も必要となります。

まとめ

デジタルレジデンシープログラム(RNS.ID)は、世界中のどこからでもパラオの金融システムや各種サービスにアクセス可能な仕組みです。

基幹にはブロックチェーンの技術が有効に取り入れられており、安全に個人情報が管理されています。パラオはブロックチェーン技術の活用に前向きな国であることから今後の取り組みにも注目です。

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